航空分野

海外で自家用パイロット訓練を行う場合に必要な訓練期間は?語学留学ついでにライセンスを取得できるのか。

2016年10月1日

以前、語学留学ついでに陸上単発機のライセンス取得を考えている方から「アメリカとカナダのどちらで訓練を行ったほうが良いか」という質問をいただきました。

実際のところ、滞在期間の限られている語学留学でライセンスを取得することは可能なのでしょうか。また、どこの国で訓練を行うのが一番良いのでしょうか。

今回は、みなさんの飛行機の自家用ライセンスの取得計画の助けになるように私の経験をお話します。

自家用ライセンスの訓練には最低でも3か月が必要

自家用ライセンス取得を目指している方の出鼻をくじくようですが、航空機の操縦は結構難しいのです。

覚えること(主に法律の一字一句丸暗記等)がたくさんあり、実地試験は試験官と面と向かっての口述試験です。高校や大学受験とはまた違った難しさで、日本語でも結構苦労するのです。

実地試験の内容・雰囲気については過去記事でまとめてあります。日本の自家用操縦士についての経験談ですが、海外で試験を受ける際の参考になると思います。

また、訓練は天候にも左右されます。

渡航する時期によっては毎日のように雨が降ることも多く、長期間フライト訓練ができないこともしばしばあるのです。

バンクーバーのBoundaryBayAirportにあるフライトスクールの日本人教官の方いわく、これまでの日本人の最短取得記録は2ヶ月だそうです。その訓練生はかなり勉強熱心で、ライセンス取得のために毎日予習復習に励んでいました。

語学学習の片手間に訓練をした場合は、よほど吸収が早い人でない限り絶対に2か月以上はかかるということですね。

これは私の感覚ですが、まったく航空機に触れたことが無いような人は最低でも6か月の訓練期間を確保したほうがいいでしょう。

参考ですが滑空機の場合はエンジン操作や複雑な無線のやり取りが必要なく、計器もほとんどないのでライセンスのレベルはかなり低いです。それでもライセンス取得には2~3週間はかかります。

ライセンスを取得したら自社養成パイロットには応募できないの?

「ライセンス所得者は日本の航空会社の自社養成パイロットに応募できないのか?」という疑問をよく目にします。

結論を言うと、自家用操縦士までなら取得しても問題ありません(2016年現在)。

以下、各航空会社HPからの引用です。

JAL(応募資格)

(3)その他
日本をはじめ各国で発行した事業用操縦士免許をお持ちの方はご応募いただけません

ANA(FAQ)

Q.既にパイロットライセンスを所持していますが、応募することはできますか。
A.各国発行の事業用操縦士免許を所持している方はご応募いただけません。ご了承ください。

ただし、自家用操縦士ライセンスを取得すれば選考に有利になるということはありません

採用試験では、「訓練の内容を吸収できる人材かどうか」を見られます。

パイロットという世界に1度でも足を踏み入れた人は「他の人よりもパイロットについて知ってるぜ!」という慢心が少なからず芽生えるわけです。

航空会社もその点は気にしているようで、自社養成パイロットの応募用エントリーシートには「保有している航空従事者免許があれば必ずお書きください」という欄が必ずあると思います。

まったくの素人よりも評価の基準が上がってしまうのですね。

永住権が取れる国で訓練を行うべき

海外のエアラインパイロットを視野に入れているならば、永住権を取得できる可能性がある国で訓練を行うべきです。

海外でパイロットになるには、その国にとっての「外国人労働者」になるということですね。エアラインパイロットになるにはどの国でも「永住権」以上の滞在資格が必要ですし、それを取得することはパイロットの試験に合格することよりも難しいかもしれません。

特にアメリカは国の政策で移民を拒否しているので、永住権を取得するのはほぼ不可能です(日本の方が厳しいと思いますが…)。有能な弁護士を見つけて5000万円を支払えば永住権を取得できると聞いたことがありますが、現実的ではありませんね。

それに対してカナダとニュージーランドは比較的寛容です。現地の人も日本人は勤勉で働き者だということを分かっているので、永住権を取得できる可能性があるそうです。

2016年9月現在、私はカナダ推しです。

この記事を執筆しているいま現在、私はカナダでの訓練をすることをお勧めします。

カナダは近年こそ永住権取得が難しくなっているものの、その可能性は十分に残っているのです。カナダの永住権はポイント制で、現地で仕事を見つけて何年か働くと永住権の申請ができるようになります。

以下、カナダのフライトスクールで教官をされている日本人教官の方に伺った話をまとめた記事です。

[blogcard url="http://pilotsgate.com/to-be-a-pilot-710/"]

また、訓練費用の点でもカナダは非常に有利です。

次の表はアメリカとカナダのフライトスクールHPから「自家用操縦士」の訓練費用を抜き出してまとめたものです。

  カナダアメリカ
為替(円/現地ドル) 77100
自家用操縦士技能証明(単発)現地ドル10,59110,945
日本円815,507109,945

この表を見てわかるように、アメリカとカナダのドル換算の訓練費はあまり変わらないんですよ。アメリカとカナダのどちらも1万ドル強ですね。その差はわずか500ドルです。

ところが、2016年9月22日現在(当記事執筆時)の為替レートは約100円/米ドル、約77円/カナダドルですので、日本円に換算するとそれぞれ約82万円、101万円になるのです。

2002年はカナダドル=米ドル=120円ほどでしたので、現在はかなりお得になっていることが分かりますね。

まとめ

航空機の操縦は結構難しく、口述試験のある実地試験の勉強は日本語でも苦労します。

集中してライセンス取得に励むなら最短でも2か月、語学学習などの片手間でやるなら6か月は訓練期間を確保したほうが良いでしょう。

またお勧めの訓練国はカナダで、将来のパイロットキャリアと為替の面で現在ではメリットが多くあります。

  • この記事を書いた人

きゃぶ

飛行機とITが好きな30代です。 過去にカナダでのパイロット留学経験をブログで発信してました。 機械工学科→大手メーカー就職→バンクーバー航空留学→失敗→帰国。 現在はメーカーで通訳の仕事をしています。 2022年夏にカナダデジタルマーケCoop留学検討中。社会人からの英語学習、海外留学とキャリアチェンジについての情報を発信します。

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