海外訓練

海外でパイロットを目指す!カナダのエアライン応募に必要なライセンス取得訓練費用まとめ。

2016年8月3日

今回はカナダのエアライン応募に必要なすべてのライセンス取得費用をまとめました。結論から言うと、生活費を除いて約535万円必要です。

日本のフライトスクールには朝日航空や本田航空などがありますが、その料金体系は選択するコースごとにきっちりと決まっています。自家用操縦士から計器飛行証明までのすべてのカリキュラムがセットになって約1700万円程です。個人の上達具合によって多少前後はしますが、カリキュラムが組まれているので課程修了までの基本的な料金は変わらないというわけです。

しかし海外では考え方が日本とは全く違います。訓練スケジュールは完全に自分で組まなければならないのです。

(2021年8月8日追記)

しかし海外では考え方が日本とは全く違います。訓練スケジュールは完全に自分で組まなければならないのです。

スクールにもよりますが、訓練コースはフルタイムとパートタイムの2種類があります。

カナダのフライトスクールは、日本と同じように決まった訓練プログラムがあるのが一般的です。

これは、準航空大国のカナダといえど、わざわざパイロットのライセンスを取ろうとする人の目的は「職業パイロットになること」がほとんどだからです。そして、フルタイムのプログラムには一般的なカレッジ(大学)としての側面があり、カナダ国内で職業パイロットになるために有利になるようにカリキュラムや訓練期間が設計されているのです。

このあたりはビザの取得とも密接に関係していますので、詳しくは以下の記事をご覧ください。

パートタイムとは、スクールに学生としての登録だけをして自分の好きな時間にフライトや個別座学の予約をして訓練を進めていく方式です。

カナダでは本来必須の40時間の座学をオンラインテキストで学ぶことができたり、自分のペースで訓練を進めることができるというのがメリットです。ちなみに、うまく使えばこのパートタイムが一番安いです。フルタイムプログラムの費用に含まれている座学や制服代がかかりませんし、訓練内容が消化できていないのに飛ばなければならない、なんていうことも起きないですからね。

パートタイムで訓練を始めたころ、カナダ在住で中国系の人と知り合いました。彼も自分と同じ訓練フェーズだったのですが、やはり安さを理由にパートタイムを選択。私は分割渡航訓練だったので、1年後に再会したときに フルタイムとパートタイムは結局どっちがいいの か質問をしました。

「絶対にパートタイム!フルタイムはWast of moneyだよ!」

でもね、いまになって思うのです。

それって君がカナダ国籍持ってるからじゃない???

外国人はフルタイムじゃないとダメだよ。ビザの問題が解決できないですからね。詳しくは上記の記事をご覧ください。

以下の記事は2016年に執筆されたものであり、当時の勘違いも含まれていますので参考程度に読んでいただけると幸いです。

(追記終わり)

海外フライトスクールの料金の考え方

日本のようにカリキュラムをすべて組んでくれるフライトスクールはほとんどありません。

フライト訓練は1コマごとに訓練生が自分で予約しますし、学科の授業も自分の判断で出席します。学習の進度が遅いからと言ってお尻を叩いてくれる人はいません。訓練は訓練生自信が組み立てるのです。

一般的に必要とされる訓練費は次の5つに分けられます。なお、1カナダドル(CA$)=90円で計算をしています。

年会費

訓練生はフライトスクールの会員となることでフライトや学科の授業を予約することができます。年会費だけではなく、割高ですが月会費の設定もあるようです。カナダ・バンクーバーのPacific Flying Clubでは「Junior Member」の設定もあります。

訓練が長引くほど余計に年会費を払う必要があるわけですね。バンクーバーのPacific Flying Clubの場合、各会員ごとの料金は次の通りです。

会員種別料金
正会員$195.00/年
年少会員$125.00/年
月単位会員$12.95/月

ここでは、正会員の場合のみを考えます。

フライト料金(機体レンタル料金)

レンタルする機種ごとに1時間ごと料金が設定されています。基本的に新しい機種、高性能な機種ほどレンタル料金は高額になっています。また、ソロフライトと教官との同乗フライトでも料金が異なります。

例えばバンクーバーのPacific Flying Clubでは次のような料金設定になっています(すべてカナダドル)。

Fleet機体レンタルのみ機体レンタル+教官同乗訓練
Cessna152$122/h (¥10,980/h)$188/h (¥16,920/h)
Cessna172PR$137/h (¥12,330/h) $203/h (¥18,270/h)
Seneca1(双発機)$300/h (¥27,000/h) $350/h (¥31,500/h)

一番安いCessna152は2人乗りの旧式セスナ機です。お金持ちの訓練生以外は多発機または計器飛行証明のライセンスを取るまでこの機種で訓練をすることになります。これが、現在一番メジャーな機種である4人乗りのCessna172PRになると1時間当たり¥2,000高くなっていますね。双発機のSeneca1では、教官同乗でなんと1時間¥31,500もします。

これでも、日本と比べたら破格なんですけどね。日本だと、Cessna172を教官付きで一時間飛ばしたら6~7万円します。

※¥90/CAD(カナダドル) として計算しています。

シミュレーター

計器飛行証明(IFR)や多発限定(MErating)の訓練ではフライトシミュレーターを使用します。実機のフライトのように予約制で、シミュレーターが複数あるフライトスクールではシミュレーターのグレードによって料金が異なります。

例えばバンクーバーのPacific Flying Clubでは次の3種類のシミュレーターを保有しています。

機種料金
Simulator(AST-300/Elite)$130/h (¥11,700/h )
Redbird Full Motion FTD$160/h (¥14,400/h )
Al Sim Level 5 FTD$210/h (¥18,900/h)

※¥90/CA$(カナダドル) として計算しています。

座学

PPLやCPLそれぞれのフェーズで座学(GroundSchool)があります。訓練の種類にもよりますが、バンクーバーのPacific Flying Clubでは1時間当たり$56が多いです。\90/CA$ として\5,040くらいです。

座学はGround Schoolと表記されることが多いですが、フライトスクールによってはGround Briefingと表記するところもあります。

諸経費(航空身体検査・テキスト・ライセンス受験料)

航空身体検査代や国家試験の受験料などフライト訓練以外に必要となる費用です。航空身体検査は受検時には必ず有効でなくてはなりません。トラブルで試験が延期となり、航空身体検査が失効した場合は検査を受けなおす必要があります。

一般的には次のような金額設定がされています。

内容料金
学科試験受験料$375 (¥33,750 /h)
実地試験受験料$350 (¥31,500 /h)
テキスト代$175 (¥15,750 /h)
合計$1,000 (¥90,000 /h)

航空英語能力証明(ICAO Mandatory Language Proficiency Test)は、日本では国外に飛んでいくときに必要となります。カナダでは必ず取得する必要がありますので費用に含まれているのですね。

また、ICAO Mandatory Language Proficiency Testを日本の航空英語能力証明に切り替える場合は取得した国によってその有効期限が異なります。オーストラリア、ニュージーランド、香港、 シンガポールで取得した場合はレベル4を取得すると有効期限は3年、レベル5では6年、レベル6では無期限となっています。アメリカ・カナダで取得した場合は3年の有効期限または取得した証明書の有効期限のうちいずれか短い方となっています。

アメリカ・カナダは意外にも国際基準に完全に準拠してるわけではないのです。

http://www.mlit.go.jp/common/001066434.pdf

一般的な訓練生が必要とする訓練費

各ライセンスを取得するのにいくらかかるのでしょうか。Pacific Flying Clubのパンフレットを元に、一般的な訓練生が必要とする訓練時間から目安となる料金を算出しました。

自家用操縦士ライセンス(PPL)…約106万円(C152使用)

自家用操縦士ライセンス(PPL)を取得する場合には最低で45時間の飛行時間が必要となります。これはカナダ運輸省による規定で、内訳は同乗教育が8時間(うち3時間はクロスカントリー)、ソロフライトが37時間(うち5時間はクロスカントリー)です。

またお金持ちの訓練生以外は一番安いC152を訓練機として利用します。

 内容料金
同乗教育$1,504 (¥135,360/h)
単独飛行$4,514 (¥406,260/h)
座学$798 (¥71,820/h)
諸費用$1,000 (¥90,000/h)
航空身体検査$200 (¥18,000/h)
航空英語能力証明$125 (¥11,250/h)
ヘッドセット$350 (¥31,500/h)
合計$8,491 (¥764,190/h)

パイロットとしての初めての訓練ですので航空身体検査、航空英語能力証明、ヘッドセットが必要となります。ものすごく能力がある訓練生がストレートに訓練を終えた場合は合計で約76万円が最安値となります。実際は訓練生の経験や能力によって必要な訓練時間は変動しますので、多くの場合は40時間の同乗訓練と15時間の単独飛行を必要とします。この場合の総額は$11,823(\1,064,070)となります。

また、Pacific Flying Clubでは自家用操縦士(PPL)向けの座学を毎週月曜日と水曜日の夜19:00~21:00に行っているようです。

事業用操縦士ライセンス(CPL)…約192万円(C152使用)

カナダ運輸省の実地試験を受験するためには100時間の機長(PIC)時間を含む総飛行時間200時間が必要です。自家用操縦士までに同乗教育40時間、単独飛行15時間を終えているので、規定を満たすために65時間の教育飛行(35時間の同乗と30時間の単独飛行)と80時間の単独飛行を行います。

 内容料金
同乗教育(35h)$6,580 (¥592,200/h)
単独飛行(110h)$13,420 (¥1,207,800/h)
座学(80h)$395 (¥35,550/h)
諸費用$1,000 (¥90,000/h)
合計$21,395 (¥1,925,550 /h)

事業用操縦士ライセンスの実地試験を受けるためには試験日までに夜間飛行証明(Night Rating)が必要となりますが、上記の訓練費用に含まれています。また、夜間飛行証明(Night Rating)を単独で取得する場合は$3,555(\319,000)が必要です。

操縦教育証明(Instructor Rating)…約81万円(C172使用)

カナダの操縦教育証明はクラス1~4とレベルが分かれています。

飛行時間はそれほど多くありませんので費用は比較的安いです。同乗教育の30時間のうち5時間はシミュレーターで計器飛行を教える練習をします。

 内容料金
同乗教育(30h)$6,330 (¥569,700/h)
単独飛行(ー)
座学$1,675 (¥150,750/h)
諸費用$1,000 (¥90,000/h)
合計$9,005 (¥810,450/h)

 多発限定免許(Multi-Engin Rating)…約33万円(Piper Seneca1使用)

多発限定解除のための実機訓練は同乗教育のみとなっています。事業用まででさんざん単独飛行を行っているので、一人で飛べるのは当たり前という考えなのでしょう。

 内容料金
同乗教育(7h)$2,450 (¥220,500/h)
単独飛行(4h)
座学(4h)$224 (¥20,160/h)
諸費用$1,000 (¥90,000/h)
合計$3,674 (¥330,660/h)

多発限定免許は約33万円とそれほど高くはないのですね。

計器飛行証明(Multi-Engin Instrument Rating)…約151万円(Piper Seneca1使用)

計器飛行証明は多発機(Multi Engin)の機体で訓練を行います。また、シミュレーターを使用しての訓練も行いますので費用は高くなります。Pacific Flying Clubでは訓練に使用するシミュレーターを次の3機種から選ぶことができます。

 内容料金
Simulator(AST-300/Elite)$130/h (¥11,700/h)
Redbird Full Motion FTD$160/h (¥14,000/h)
Al Sim Level 5 FTD$210/h (¥18,900/h)

今回は真ん中のグレードであるRedbird Full Motion FTD($160/h)で計算をします。

 内容料金
同乗教育(20h)$7,000 (¥630,000/h )
単独飛行$4,514 (¥406,260/h )
シミュレーター$3,200 (¥288,000/h )
座学$1,100 (¥99,000/h )
諸費用$1,000 (¥90,000h )
合計$16,814 (¥1,513,260/h )

事業用操縦士ライセンスの次に高額な約151万円になります。

エアライン応募に必要なライセンス取得費用まとめ

カナダのエアライン応募に必要なライセンスをすべて取得した場合、平均で約535万円の訓練費用が必要となります(※年数に応じて必要な年会費・航空身体検査費・航空英語能力証明受験費は別)。

 内容料金
自家用操縦士ライセンス(PPL)$8,491(¥764,190)
事業用操縦士ライセンス(CPL)$21,395(¥1,925,550)
操縦教育証明(Instructor Rating)$9,005(¥810,450)
多発限定免許(Multi-Engin Rating)$3,674(¥330,660)
計器飛行証明(Multi-Engin Instrument Rating)$16,814(¥1,513,260)
 合計$59,379(¥5,344,110)
エアライン応募に必要なライセンス取得費用まとめ

もちろん物覚えが早くて優秀な人はこれより安くなります。わたしがカナダでお話を聞いた日本人教官の方は次のようにおっしゃっていました。

「350万円以上は必要だし、1000万円はかからない」

パイロットの適性はもちろん大切ですが、努力次第では訓練費用を安く抑えられそうです。

今回の記事が留学計画の助けになれば幸いです。

  • この記事を書いた人

きゃぶ

書くことと、人の成長を見るのが好きで、ブログの運営をしています。プログラミング、コンテンツマーケ、WEBメディア運営に興味がある雑食動物です。 もともとはパイロットになりたくて、航空留学経験を発信してました。本業はメーカーの通訳です。 これからは、社会人からのキャリアチェンジと海外留学について発信します。

-海外訓練