パイロットの試験ではどんなことを聞かれるの?自家用操縦士(PPL)実地試験の雰囲気と内容まとめ。

      2016/11/04

 

日本のパイロットライセンス試験は筆記試験と実地試験で行われます。

これは自家用の小型飛行機でもエアラインパイロットでも同じですが、ステップアップしていくほどに試験の難易度が上がっていきます。

今回は世界中のエアラインパイロット訓練生が必ず通る道である「自家用操縦士技能証明(PPL)」の試験の雰囲気と内容をまとめました。私は日本の試験しか受けたことが無いのでそれを例にとりますが、自家用レベルなら海外でも似た雰囲気だと思います。

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筆記試験(5科目各40分)

実地試験を受けるためには、年に数回行われている国土交通省の筆記試験に合格しなければなりません。

筆記試験は空中航法、航空工学、航空法規、航空気象、航空通信の5課目で、各20題(1問5点)を40分間で解きます。選択式で、70点以上で合格です。

国土交通省のHPに最新1回分の過去問が掲載されています。

国交省に許可を得てこの過去問を集めて独自HPで公開している方もいるようです。

自家用操縦士のレベルであれば、そのようなところから3~4回分の試験問題を集めて回答のパターンを覚えてしまえばこの試験は合格できます。

ただし、航空法規だけはできるだけ数をこなさないと不合格になることがあります。過去問を覚えても毎回初見の問題が2,3問出題されるので、合格点に届かない人がちらほら出てくるのですね。

各科目40分の試験ですが、会場にいる8割くらいの人は5分くらいで回答を終えて退出していきます(笑)。

実際は前日のみの勉強でも合格することが可能です。ですがそれをやると1日勉強漬けになってけっこうつらいのです(根気がない人はこの時点で諦めてしまいます)。

私は最低でも3日前から勉強をすることをおすすめしています。

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実地試験(口述試験3時間+フライト2発)

一般的に午前中に口述試験を行って午後からフライト試験を行う場合が多いですね。

初めの口述試験の出来があまりにも悪いとその時点で落とされるので、フライトには移れません。経験上、自家用レベルですと試験開始の時間や試験の長さ、内容は試験官の気分で決まります(笑)。

 試験の雰囲気

試験官によって様々です。

優しくてゆるい人もいますし、まじめで全く笑わない人もいます。自家用レベルであれば「何とか合格させてやろう」という考えを持っていることが多いです。こういう試験官は、私たち受験者を正解に誘導してくれますね。

ですが、あまりにも出来の悪い答えを繰り返していると機嫌が悪くなる試験官がほとんどです。

私が操縦教育証明(教官の資格)を受験した時は、けっこうアホな回答を繰り返していたので普通に怒られました(笑)。

試験官:「そうじゃなくて!〇〇ということをきいているんですよ!」

また、以前後輩の自家用の試験に立ち会った際の試験官は

「(自分が)免許の更新に行きたいから」

って理由で速攻で試験を切り上げてました。口述試験の内容は「機長の出発前の確認事項」と「サーマルソアリング」の2つだけ。受験者がうらやましかったです。

さて、口述試験ではどのようなことを聞かれるのでしょうか。

「機長業務を一人でできるか」を確認される

自家用操縦士の試験は

「機長として1人で航空機を飛ばせるか」

という点についての試験です。

具体的にはさっき書いた「機長の出発前の確認事項(後述)」についてのたった5項目についての質問をされます。その名のとおり受験機を飛ばしても問題がないか、受験者が自分で判断できるかどうかをテストしているわけですね。

大半は一字一句暗記した航空法の条文をそのまましゃべる

自家用操縦士レベルでは、口述試験の大半は一字一句暗記した航空法の条文をそのまま話せばOKです。

例えば次のような質問。

Q:機長として飛ぶ前には確認しなければならないことがありますよね。説明してください。

A:はい。出発前に次の5つを確認する必要があります。

①当該航空機及びこれに装備すべきものの整備状況
②離陸重量、着陸重量、重心位置及び重量分布
③法第99条の規定により国土交通大臣が提供する情報
④当該航行に必要な気象情報
⑤燃料及び滑油の搭載量及びその品質
⑥積載物の安全性

です。

Q:そうですか。でもなんでそんなことをしなければならないのですか?

A:航空法第72条の2の規定により、

機長は、国土交通省令で(定めるところにより)、航空機が航行に支障がないことその他運航に必要な準備が整つていることを確認した後でなければ、航空機を出発させてはならない

からです。

どうでしょうか。なんだか不自然ですよね。

ですがこのように一字一句答えないと不正解になってしまうことが多いのです。この例で挙げた「機長の出発前の確認事項」は基本中の基本なので、完璧に言えないと容赦なく落とされます。

ある試験官いわく、「航空従事者のレベルを一定に保つためには一字一句言えることが必要」なんだそうです。受験者独自の解釈で話してしまうと、法律が指すニュアンスが変わってしまいます。すべての免許保持者(ライセンシー)が正しい解釈・理解をするためには一字一句を覚えて理解する、ということが大切なのですね。

さあ、「機長の出発前の確認事項」5項目についての確認が終わりました。丸暗記なので簡単ですね…というわけにはいきません。5項目に関連した様々な質問が始まります。

口述試験は合計して3時間くらいでしょうか。けっこう厳しいので覚悟が必要です。

要点を説明できれば良いものもある

航空法のニュアンスが変わらなければ要点の説明で済むものもたくさんあります。

例えばトランスポンダーコードの設定ですね。

dsc_0978

映画などで、管制塔のレーダーに機体名と飛行高度が表示されているのを見たことはないでしょうか。あの情報を発信しているのが各航空機に設置されたトランスポンダと呼ばれる装置です。

トランスポンダーは管制塔からの電波を受信すると上の画像のような4ケタの番号を返信します。

試験官によってはこれをすべて答えろと言う人もいますし、「ハイジャックされたときは何番にセットしますか?」と単品で質問する人もいます。

このように具体的な数字を答えたりする場合は要点だけをパパッと答えればいいわけです。

一番パイロットらしい!?航空情報の確認

法律の条文だけではなくて、次のようなパイロットらしいことも説明を求められます。

dsc_0976

空港周辺の航空路や交通情報(トラフィック)の確認ですね。上の画像のような航空図(TCAチャート)を用いて説明します。

ニュース等では米軍の横田空域について時々騒がれているのを目にしますね。私も過去にツイートを上げていました。

※自分のツイートをリツイートしていますが、1回目はドヤ顔でとんでもない間違いを発信しているので勉強の参考にはしないでください。

基本的には受験空港を基準に質問されます。

関東の空港で受験するなら関東地方全域の説明が必要です(私は滑空機で受験をしたので関東地方のみですが、飛行機は広範囲を移動できるので説明の範囲はもっと広いかもしれません)。

この場合も試験官の質問はかなりざっくりしたものになります。

Q:それでは、航空情報の確認に移りましょうか。

A:はい。本日の受験地は○○空港です。…羽田空港から20~40NM(ノーティカルマイル)の範囲に位置してるので高度300m以上は航空交通管制区となっています。…

このような説明をしている最中にいちいち質問してくる試験官もいますし、いじわるな突っ込みをしてくる試験官もいます。

暗記の量は膨大です。

これまでの例は暗記の量がものすごく少ない方ですね。次のように頭がおかしくなるレベルで暗記が必要なものもあります。

dsc_0980

捜索救難の項目です。海猿の映画でここに書かれている手順で救出活動が行われていました。

この場合は要点をまとめて説明をしてもいいのですが、私はそんな余裕がなかったので表を丸暗記して順番に答えていきました。

2段目の途中まで暗唱したところで「多分全部覚えてるでしょうから、もういいですよ」と言われて終わりました(笑)。

まとめ

パイロットの試験はすべて「筆記試験+実地試験」で行われます。

実地試験は口述試験3時間、フライト試験1発以上となっています。試験の長さや難易度は試験官の気分や性格によって大きく変わりますが、いずれにしても航空法など膨大な量の勉強が必要になってきます。

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社会人4年目のゆとり。陸単自家用ライセンス取得のためカナダに分割渡航で操縦練習中。訓練機にあえてC152を選ぶ変態。グライダーの自家用と教育証明を取得済み。


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