海外航空留学でパイロットを目指す~カナダ・NZ・オーストラリア・アメリカで比較しました~

      2017/09/16

 

当ブログの第一弾は海外でのパイロット訓練の費用まとめです。

各国での訓練費用は為替や燃料代、人件費が密接に絡み合って決定されています。今回は各国フライトスクールのHPをもとにその訓練費用をまとめてみたいと思います。

比較したのはICAO(国際民間航空機関)加盟国であり、国際的にも航空ライセンスの信頼度が高いニュージーランド、オーストラリア、アメリカ、カナダの4か国です。

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航空留学と言えばアメリカ。しかし、安さでは2016年現在第2位。

航空の発祥と言えばアメリカです。現在では無線通信の標準は英語であり、航空界のあらゆるルールはアメリカを基準に設定されています。また広大な国土を有しているため航空の発達が著しく、地域によっては一家に一台小型飛行機を保有するのがふつうというところもあります。アメリカは燃料費も安く、パイロットの訓練を行うには最適とされています。

しかし、単純な訓練費だけを比べると特別安いというわけではなさそうです。次の表に各国の訓練費をまとめました。

ニュージーランド オーストラリア カナダ アメリカ
為替 76 84 84 113
自家用操縦士技能証明(単発) 現地$ 24,000 25,075 10,591 10,945
日本円 1,824,000 2,106,300 889,644 1,236,767
操縦教育証明(飛行機) 現地$ 24,004 22,437 10,001 8,000
日本円 2,736,456 1,884,708 840,084 904,000

海外フライトスクールを探すにあたって、このサイトを参考にしました。すべてのライセンスの価格が掲載されているわけではなかったのですべての国の情報が得られた自家用操縦士(単発機)と操縦教育証明(飛行機)の2つのライセンスでの比較です。

これをみると、ニュージーランドとオーストラリアとでは自家用操縦士技能証明を取得するのにそれぞれ約180万円、210万円かかっていることが分かります。それに対してカナダ、アメリカはそれぞれ約90万円、120万円です。カナダでの訓練が一番安いのですね。

アメリカが120万円とカナダより30万円も高いのですが、現地通貨を見るとどちらも約1万ドルとあまり変わりません。ですからカナダの訓練費が安いのはカナダの通貨が円に対して安いからなのですね。また、アメリカとカナダはどちらも燃料が安いのだと考えられます。

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アメリカで仕事を得ることは非常に困難

操縦教育証明の欄を見るとアメリカのほうが圧倒的に安いことが分かります。理由は分かりませんが、フライトスクールで教官として働くために必要なライセンスをすべて取ると考えるとアメリカでもカナダでも金額はあまり変わらないように思いますよね。

ですが、アメリカよりもカナダでライセンスを取得したほうが良い理由があります。アメリカで外国人が仕事を得ることは非常に困難だからです。

海外で日本人が働くためにはその国の就労ビザが必要になるのですが、アメリカは移民制度を厳しく制限しているのでなかなか就労ビザを受けることができません。観光ビザはその国の利益になるのでたくさん発行しますが、働くためのビザ(就労ビザ・ワーキングビザ)は自国民の労働者を守るために発行数に制限があるのです。

さらに、アメリカの航空会社でエアラインパイロットとして働くためには就労ビザよりも格上の永住権(グリーンカード)が必要となります。

各国の就労ビザ取得の難易度比較

先ほどの4か国について、働くためのビザの種類と詳細を順番に見ていきましょう。

ニュージーランド

・ワーキングホリデービザ
学生・観光・就労ビザがセットになったお得なビザ。18~30歳に限定されているが、定員に達しさえしなければ取得は容易。1年間有効で更新不可。
よく居酒屋のトイレにポスターが貼ってあるので見たことがある方も多いと思う。
日本人に限り、1年間同じ雇用主のもとで働くことができる(ふつうは3か月)。

・一般就労ビザ
延長を含めて最長3年間有効。更新可能で、申請から発給まで2~6か月を要する。

・特定就労促進制度
有能な外国人の若者に就労の機会を与える制度。
当初9か月の滞在許可が下り、その間に職を見つけることができると2年間の一般就労ビザに更新可能。
滞在資金4200NZ$(30万円くらい)以上、IELTS(アイエルツ)6.5点以上。20~35歳限定。

IELTSは、イギリス、アメリカ、オーストラリアなど120カ国、約6,000の教育機関・国際機関・政府機関が採用し、年間140万人が受験する、世界的に認められた英語運用能力試験です。 アメリカでは、約3,000校の大学がIELTSを採用しています。

https://beocollege.jp/module/ielts_about.html

オーストラリア

・ワーキングホリデービザ
同一雇用主のもとで6か月間就労可能。

・一般就労ビザ
基本的にワーキングホリデービザ→一般就労ビザへの切り替えが多い。しかし非常に難易度が高く、ワーキングホリデービザで同一雇用主のもとで働けるのは6か月なので、その間に能力を認められて企業にスポンサーになってもらわないといけない。
他にも最低賃金53900AS$(520万円)以上だったりIELTSの条件があったりする。詳しくはググってください。

カナダ

・ワーキングホリデービザ
一年間同一雇用主の元で働くことが可能。

・観光目的であればビザは不要

・就労許可証(ワークパーミット、一般就労ビザ)

・Work off campus(学生ビザ所有者が就学しながら働けるビザ)
カナダの大学等に通っている人がアルバイトをしたいときに申請するワークパーミット。
週20時間までの就労が可能で、有効期限は学生ビザと同じ。
学生ビザを持っていることが条件。
カナダの公立大学又は短大、もしくは50%以上の公的資金が入っている私立学校で就学という条件付き。

アメリカ

語学留学を除く長期滞在に必要なのはJ1、H1B、H2B、H3ビザです。ワーキングホリデービザはありません。
その中で実際に働くために必要なのはH1Bビザです。

・H1ビザ
専門職ビザとも呼ばれ、日本人留学生がアメリカで就職する場合に最も一般的なビザとなる。
雇用主がスポンサーとなり、通常3年間で最長6年まで働けるが転勤や異動は制限される。
年間の発行数に制限があり、取得には自身の技能と有能な弁護士を雇うための金銭的余裕も必要なため、取得がものすごく難しい。

・J1ビザ
教育文化庁が監督をしている交流訪問者プログラム参加者に与えられるビザ。
最大18か月で他ビザへの切り替えも可能で、給与が発生しても雇用関係は結ばれない。

・H2B、H3ビザ
季節労働者ビザとも呼ばれ、H2B季節的に労働者が不足している場合のみに発給される。
H3びざはH2Bビザの内容にプラスして、アメリカで企業研修をする場合に発給される。

まとめ

海外でのエアライン就職を視野に入れると、ニュージーランドかカナダで航空留学をするのが良さそうです。2国のポイントを簡単にまとめます。

ニュージーランド

  • 日本人が優遇されている。(ワーキングホリデービザの場合、日本人のみ特定の雇用主の元で1年働ける。ふつうは3か月まで。)
  • 特定就労促進制度がある。(年間300まで。人気ですぐに規定数に達するが、仕事が見つかれば2年間の就労ビザに切り替えられる。)
  • 為替が安い。(記事を投稿した時点で76円/NZドルくらい)
  • 訓練費が若干高い。(燃料費が高いためだと思われる)
  • 日本人がエアラインパイロットになったという前例がある。(→ブログ

カナダ

  • 訓練費が安い。(資源国家だから航空燃料が安いのか...)
  • フライトスクールが多い。(60か所くらい)
  • ライセンスの信頼度が非常に高い。(ヨーロッパに次いで2位)
  • アメリカよりましだが、就労ビザが取りにくい。(現在カナダの失業率が高いため)
  • 日本人がエアラインパイロットになったという前例がある。(→ブログ
  • アメリカFAAライセンスへの書き換えが容易(2国間で他の国にはない特別な協定が結ばれているため。)

ワーキングホリデービザで1年間同一雇用主の元で働けるという点は非常に重要だと思います。

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社会人4年目のゆとり。陸単自家用ライセンス取得のためカナダに分割渡航で操縦練習中。訓練機にあえてC152を選ぶ変態。グライダーの自家用と教育証明を取得済み。


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